高齢化の進展とともに、社会の影に隠れて深刻さを増しているのが「高齢者の孤立化」とそれに伴う「孤独死」の問題である。かつての日本では、3世代が同居する大家族が一般的であり、家庭内には常に誰かの目があった。しかし、核家族化が進み、ライフスタイルが多様化した現代においては、配偶者との死別や未婚化を背景に、高齢者の「単身世帯(一人暮らし)」が急増しているのだ。
地域のつながりが希薄な都市部では特に、隣に誰が住んでいるのかすら分からないという状況が珍しくない。定年退職後に社会との接点を失い、家に引きこもりがちになる高齢者も多く、会話を交わす相手が誰一人いないまま何日も過ごすというケースも頻繁に報告されている。このような社会的な孤立は、認知機能の低下やうつ病のリスクを高めるだけでなく、自宅で誰にも看取られることなく息を引き取り、長期間発見されない「孤独死」という痛ましい結果を招く最大の要因となるだろう。
この「無縁社会」の弊害を防ぐためには、行政による見守りサービスに頼るだけでなく、地域コミュニティの再構築が不可欠である。町内会や自治会、ボランティア団体が連携し、高齢者が気軽に立ち寄れるカフェやサロンを運営するなど、日常的な「緩やかなつながり」を意図的に創出する取り組みが求められている。誰もが孤立せず、互いに気遣い合える社会を作ることは、明日の我々自身を守ることにも直結するはずだ。孤立という見えない病を社会全体でいかに予防していくかが、今後の地域福祉における最大のテーマとなるだろう。