高齢化の弊害を食い止める希望の光

これまで見てきたように、高齢化がもたらす弊害や課題は、医療、経済、地域社会と多岐にわたる。しかし、ただ悲観していても問題は解決しない。この未曾有の超高齢社会を乗り越えるためには、テクノロジーの積極的な活用と、「健康寿命」の延伸、そして地域社会の「共助」の力を結集させることが希望の光となるだろう。

人手不足が深刻な介護現場では、すでに見守りセンサーや介護アシストスーツ、AIを活用したケアプラン作成など、ICT(情報通信技術)やロボティクスの導入が始まりつつある。これらが普及すれば、職員の身体的・精神的な負担は劇的に軽減され、より人間らしい温かみのあるケアに時間を割くことが可能になるはずだ。また、移動手段を失った地方の高齢者に向けては、自動運転技術やドローンを使った配送システム、オンライン診療などが、インフラ崩壊を食い止める強力なツールとなるに違いない。

そして何より大切なのが、我々一人ひとりの意識改革である。単に寿命を延ばすだけでなく、日常的に運動や社会参加を行い、介護を必要とせず自立して生活できる「健康寿命」をいかに延ばすかが重要だ。元気な高齢者が地域でボランティアや就労を行い、支えられる側から支える側へと回ることで、社会保障制度の崩壊を防ぐことができるのである。「自助・共助・公助」のバランスを再構築し、テクノロジーの力を最大限に引き出すことで、日本は世界に先駆けて「高齢化の課題を解決したモデルケース」になれる可能性を大いに秘めている。ピンチをチャンスに変え、新たな社会システムを創造していく知恵と行動力が、今の日本には強く求められているのだ。