高齢化の影響は、都市部よりも地方でより顕著に、そして深刻な形で表れている。若者の都市部への流出と相まって、地方では集落の人口の過半数が65歳以上となる「限界集落」が急増しているのだ。人口が減少し、しかもその大半が高齢者という地域では、これまでの当たり前の生活を維持することすら極めて困難な状況に陥っている。
まず顕在化しているのが、「買い物難民(交通弱者)」の問題である。利用者の減少により赤字となったバスや鉄道などの公共交通機関が廃止され、同時に採算が合わなくなった地元のスーパーや病院も次々と撤退している。運転免許を返納した高齢者は、日々の食料品や日用品を買うため、あるいは病院に通うための移動手段を奪われ、生活インフラへのアクセスが完全に断たれてしまうのである。
さらに、住む人がいなくなった「空き家問題」も地方の悩みの種の一つとなっている。放置された空き家は倒壊の危険性や衛生環境の悪化、防犯上のリスクをもたらし、地域の治安や景観を大きく損なう要因だ。人口減少によって自治体の税収が激減する中、水道や道路といった基礎的なインフラ設備を維持するためのコストを誰がどのように負担するのかという重い課題も突きつけられている。
地方自治体は「すべてを維持する」ことへの執着を捨て、街の機能をコンパクトに集約するスマートシティ化など、縮小する社会に合わせた都市計画の抜本的な見直しを迫られているのだろう。地方の衰退をただ座して待つのではなく、地域の特性に合わせた持続可能な新たなコミュニティの形を早急に模索しなければならない。